枯れた松から脱出したカミキリ成虫が健全な松の若枝を後食(※)します。その時にマツノザイセンチュウがカミキリ成虫の体内から離れ、後食の傷口を経由して松樹体内に侵入します。
※後食 : カミキリ成虫が体を熟成させるために、松の若枝を食べること
松樹体内でマツノザイセンチュウが増殖・移動した結果、健全な松に、樹脂分泌の停止、通水障害の症状が現れ、外見にも針葉の黄化・萎凋が現れます。
衰弱した松から発生するテルペンやエタノールなどによりカミキリ成虫が引き寄せられ、衰弱もしくは枯死した松樹皮下に産卵します。1回に1個ずつ合計で100個程度の産卵を行います。
松樹皮下で孵化したカミキリ幼虫は、孵化直後から松の内樹皮を摂食します。3回脱皮して4齢まで成長しますが、3齢幼虫の時に材内に蛹室を作り、4齢幼虫が蛹室内で越冬します。
カミキリ蛹室の周りにはマツノザイセンチュウが多く集まります。翌年春にカミキリがさなぎから成虫に羽化しますが、羽化してから脱出までの間にカミキリ体内にマツノザイセンチュウが乗り移ります。
体内にマツノザイセンチュウを持ったカミキリ成虫が、枯死した松から脱出し、周辺の健全な松に飛翔、後食して、マツノザイセンチュウを伝播していきます。